10/04/2013

映画 Now You See Me (グランド・イリュージョン)の感想

10月25日公開の映画「グランド・イリュージョン」
の感想をネタバレなしで書いてみたいと思います。
ストーリーは簡単に言えば
四人のマジシャンがマジックを使って銀行からお金を盗みます。
もう少し詳しいストーリーが知りたい方は公式サイトをどうぞ。
・・・と思ったのですが、公式サイトがFlash多用で見づらいので
ネタバレにならない程度のストーリーを追うなら
こういうページの方が良いかもしれません。

英語の原題はNow you see me
Now you see me (it), now you don't.
というのはマジシャンの決まり文句と言われていて
「はい、ありますね? ほら、消えた」のような感じです。
このままではわかりづらいってことでグランド・イリュージョンになったのでしょう。
では実際にグランド・イリュージョンという言葉がセリフ内で出てくるかというと
全然出てこなくて近いのはone giant illusionという言葉が一回。
this grand trickが一回(記憶モード)です。
ただ、これらを字幕でグランド・イリュージョンと表現するなら
この映画を象徴する語句として使うことも出来そうです。

The closer you look, the less you see.
何度も表現を変えてセリフに登場しますがこれはまさにその通りですね。
マジックを見せているとお客様から「こんなに近くで見ているのに不思議」と
言われることがあります。けど近づくと見える範囲が狭くなりますから
案外色々なものが見えなくなります。
実際にはその場合、マジックに引っかかりやすいか否かは時と場合に寄りますが、
演じる側としては「当たり」の場所を近くで見られても問題ないような技術と
少し離れて視界を広くとって見られても大丈夫な技術の両方を
身につけていないといけないわけです。

もう一つ、マジックをやっていたら覚えておくと良さそうな言い回しに
劇中でモーガン・フリーマンが言っていた・・・、
彼は私の中では日本のいかりや長介と呼ばれているのですが
(二人とも味のある良い役者さんです)、まぁ、それは置いておいて
When a magician waves his hand and says "This is where the magic is happening."
the real trick is happening somewhere else.
という表現。いわゆるミスディレクションの説明です。
何だか、英語でマジックするときに覚えておくと便利そうなどと思いました。
実はこれは(映画内の話でなくて実際の話として)ある瞬間の空間的意味だけでなく、
時間軸上の意味でもそうである場合があります。

「マジシャンが右手動かしてるときは左手が怪しいんだよねぇ」とは
私の親が私が幼少の頃から言っていましたから
もはやこの表現はマジックの知識がない人ですら知っているといえます。
しかし、巧く構築され、上手に演じられるマジックはそういう目で見ても
わからないものです。
「結果を知った上で二度目を見てもまだ不思議」
演じる側としてはそこを目指さないといけないとも言えます。

さて、映画ですが専門職を扱った映画は本職の人が見ると
苦笑しつつ見ることになる場合も少なくないとは良く聞く話ですが、
この映画に関してはマジシャン視点で観ても全くそんな点はなく、
また、種明かしというデリケートな部分に関しても
現役のマジシャンが困ったり、怒ったりすることがないように作られています。
マジックのやり方の説明は映画の中では十分に納得できる表現をしつつ
現実のマジックにはダメージを与えない上手な描き方をしています。
ときにフィクションとしての誇張はありますがその誇張は映画の世界観に
上手くはまっているため「そんなわけないだろ」などと
覚めてしまうことは全くないと思える範囲です。

映画の前半、マジックショーの中である犯罪を実行するために
デビッド・カッパーフィールドの有名なマジックが元ネタと思われるマジックを
(エンドクレジットでデビッドのマジックから
インスパイアされたと、彼の名がクレジットされています)
主人公達が演じ、後にそのやり方も解説されますが
この映画を観た後でもデビッドのマジックは褪せることなく不思議なままのはずです。

ストーリー上の伏線の張り方もとても良く出来ていて、
あとから思えばあのセリフはこれを暗示していたのかと
気持ちよく収まるべきものが収まりますし、
別の意味での伏線、ストーリー上の伏線でなくてマジック的な伏線とでも言いますか、
「あ、このカットがあのマジックを今やったという表現なんだな」
と思えるようなカットがきちんと挿入されています。
それは最初観ただけではおそらく気付けないし、
映画の中でもいちいち説明しませんから気付く人だけが気付く類のものです。
本当に上手に編集のリズムとカメラアングルで一連のシーンに馴染ませあります。
おそらく二度目を観たときに「あ~、ちゃんとここ映してたんだ!」とか
「上手くギリギリのところで隠してるなぁ」などと気付くかもしれません。

すでにあちらでは続編の制作が決まったという話も聞こえてきますが、
まずはこちらを是非劇場でご覧下さい。
私もまた観に行くと思います。

あ、褒めまくってますけど日本版予告編の
「このトリックに騙されるな」のようなコピーは好きになれません。
騙された方が楽しいと思うのですけどもね。

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